何が怖いんだろう

　ホラー映画なんかは怖すぎて好きではないのだが、何故怖すぎるのかといえば、俺の想像力がたくまし過ぎて怖いというより、それがいかに怖いかを考えようとすることが怖いのだと今悟ったので書いとく。

　俺は昔からホラー映画が大嫌いだ。中学時代｢リングすげー怖かったよ｣といったら後輩に馬鹿にされたことを思い出す。そのとき奴は何と言ったか。
｢俺なんか笑っちゃいましたよ｣
当然、その言葉を発した瞬間というかその言葉を理解した瞬間なのだが、奴を締め上げた。(脳内で)

　｢恐怖｣というのは脳内でのはたらきに間違いあるまい。ただ、俺の脳内でその恐怖というものが、実際どのようにして成っているのかは分からない。多分、死とは繋がっているのだろう。しかし、どのようにして死ぬのか、というと想像出来ない。
　俺の恐怖は痛さではないと思う。刀で切りつけられて死ぬのは怖いが、包丁を持った変態につけまわされる方が怖い。それで、その変態は俺を背後からスッと近づきザクッと一刺しし、倒れた俺に馬乗りになって滅多刺しにするのだろうが、俺には背後にスッと近づかれるのが怖い。つけまわされるのがやはり怖い。うーむ、不意が怖いのか?
　お化けが怖い。俺を殺さなくても怖い。何か後ろの方で見られていたりすると怖い。俺の分からないところで俺について何かやっているとしたら怖いな。俺にはそれを知るすべが無いのだが。

　何らかの恐怖のイメージ(お化けがブワッと出てきたり)があって、その恐怖が実現された結果(例えば死んじまったり)、その間何があったのかを想像することは可能だろう。ただ、それが出来ないのは恐怖からだ。その出来ない恐怖は主観的になってしまった俺が、その間における体験を想像することであるからだろうな。とか書いたけど全然訳分からなくなったのでやめた。