があったようだ。
教師が倒れて死んだことに対してらしい。遺族側の主張は過労死ということだが、県の主張は元から心臓が悪かったからということで、今回の判決でも県の側の主張が通った形のようだ。
俺もその先生に物理を学んだ。分かりづらいと評判であり、正直俺もあまり好きではなかった。ただ、ネタとしては好きだった。その先生が分かりづらく教える人というだけであれば、単に嫌われていただけかもしれないが、その先生はちょっと「奇妙」だったのだ。脚を引きずるように歩くのである。多分脚が悪かったのだろう。「煙草部屋」から出てくるのも何となく不気味だった。この高校で唯一喫煙できる「煙草部屋」はちょっと気持ち悪いのである。窓はヤニで黄ばんでいるし、職員室以上に教師しかいないし、どこか閉鎖的であるし、暗いし。あんな部屋にいたら病気になってもおかしくない。そのことを考えれば俺は、彼はやはり過労というより、病気で亡くなったのではないか、と思う。
そんな授業が分かりづらい先生ではあったが、何となく丁寧ではあったと思う。最もその印象を受けたのは試験のときだろう。普通はワープロで打ったものを印刷するのに、その先生だけは全て手書きであった。この試験を始めて受けたときは驚いたし、他の人も驚いてネタにし、あざ笑っていた。病的な感じの先生ではあったが、そういう丁寧なところ(というかコンピュータが使えなかっただけかもしれないが)で、自分から過労して行ったのかもしれない。結果として同じ労働であれ、人によっては手を抜いていいところを抜かない人もいるのだ。
この先生が倒れたのはいつだっただろうか、あまり記憶に無い。名前も覚えていない先生なんだから当然であろう。ただ、なにか騒がしくなって、救急車が来たことは覚えている。その日から物理の授業にその先生は来なくなった。新しい若い先生が来て、そしてついに卒業まで学校に来ることはなかった。風の噂には植物状態だとか、何だかよくわからないことを聞いた。
大学に行って数ヶ月経った頃、友人からその先生が死んだことを聞いた。なんと言うか、そもそも記憶にもあまりないし、ふーんと言う感じだった。ネタにしようにも相手は死人だ。ただ、人が死んだということでちょっと悲しくなって、そして忘れた。
その先生がどうして死んだのかは俺には分からないが、彼はこんなことを言っていたのをとても強く心に残っている。
「これは人間のものじゃない」
先生、それは人間のものですよ。私の友人が漏らした糞です。
つーかさ、ホントにその先生の訴訟なのかわかんねーし。
追記:やっぱ違う先生だったらしい。
なんか違う先生の訴訟だったよ。98年くらいの出来事らしい。
Posted by: チョコ : 2004年09月06日 20:44ああやっぱり。
だって、名字が高橋だったもん。
で、いま彼の名前思い出した。