2004年03月24日

ハルウララのニュースが海外でも

ハルウララ騒動 負けるために出走する馬が負けても私にはニュースじゃない

勝つことで生き残り自らの血統を残していくためだけに作られた生物だ。人間のエゴの産物だし、そのエゴの産物が走るレースを楽しむ私は酷いヤツだろう。だがそれゆえに、私は勝つために走っている馬にリスペクトしなくてはならない。負けるために出走している馬にではなくてね。
 サラブレッドは勝つことによってのみ生き残っていく。物理的にも記録的にも記憶的にも。

サラブレッドが競馬をするために誕生したのは誰もが知っていることだ。
しかし、現在のサラブレッドがすでに競馬に関わる為だけに存在するのかどうか疑問である。
生命が重視される現在において、競馬だけでサラブレッドを語るのはどうかと思う。
ただ、ハルウララは競走馬として存在しているため、勝たなくてはならないことは揺るがない事実である。
負けるために走るハルウララは非難すべき対象だ。

 ハルウララが今後どれだけ負け続けるのかわからないが、たとえ100敗どころか200敗しようと、その負け様は私の記憶には残らない。15年後、ハルウララの名前は私の記憶の中には一欠片さえも残らないだろう。

ハルウララは負け続けることで涙を誘う。
実際それは虚像であるのだが、勝っている馬ではなく負けている馬に人気があるのはそういうところにある。
ただ、「負けることが評価されてはならないから」と言うのではなく、「何故負けることが評価されてしまったのか」、そういった「あってはならないこと」の原因を考えるべきではないだろうか。
そういう意味で、ハルウララは忘れてはならないのである。

ハルウララについて、否定的な捉え方をする競馬ファンは多い。
しかし、ハルウララは出るべくして出たということもいえるのである。
もし、ハルウララが出てきたのを呪うのなら、それは今までの競馬の功罪ともいうべきものである。
それだけ競馬という世界は非情であった。

現在の地方競馬は危機である。
潰れていく地方の競馬場、行く当ての無い騎手や調教師や厩務員、そして一番悲惨なのは競走馬だ。
彼らは巨大な市場の上であがくことも出来ず消えていった。
彼らは競馬の世界に自分たちの存在を残したかったに違いない。
それによって彼らが競馬に携わったことの意義を証明できるからだ。

ハルウララはその象徴といってもいい。いや、成功した代弁者であった。
競争に負けたものは淘汰される世界で、結局彼らは存在そのものを否定されるのだ。
ハルウララはそういう存在が否定される世界で敢えて「負け続けることで存在した」特殊な馬、負け組みのあがきという捉え方をすべきである。
「負けてても、誰からも見られなくても、確かにそこに存在した!」
勝者のみ存在する世界では、それを証明することは難しい。
サラブレッドが競争で勝利するために存在するとしたら、ついには勝てずに消えていったサラブレッドは生命そのものの存在を否定されることに繋がりかねない。

ハルウララは存在してはならなかった。しかし、存在したことは意味はあった。
ハルウララは競馬という非情なスポーツの中での警鐘と受け取るべきだ。
「本当に勝つことだけが全てなのか。勝たなくては生きられないのか」と。
競馬は血統が重要になるぐらい先天的な部分が大きいので、それだけ生まれながらにして運命が決ってしまっていると言えるのである。

このようなことは勝ち組の理論で考える競馬のプロにとっては理解できないかもしれないし、むしろ否定しなければ自分のやってきたことも否定されると危惧するのである。彼らがハルウララの負けを応援することに対して批判するのは当然だ。義務すらある。
プロは勝ち続けなければならない。
負けることで評価を受けようとするプロはあってはならない。

高知競馬には1万3000人が入ったというが、1レースでみるとハルウララのレースは高知競馬が得た収入では史上最高であり、これからも抜かれることはほぼないことだろうと思う。
それは公認されたイカサマであった。史上稀にみる一大イカサマであった。
今後、競馬の世界でそんなことが起きてはならない。
その為にも、「否定されてきた存在の肯定」ということを我々競馬ファンはする義務があり、ハルウララを決して忘れてはならないのである。
「第二のハルウララ」を生み出さないために。


http://story.news.yahoo.com/news?tmpl=story&cid=816&ncid=816&e=5&u=/ap/20040322/ap_on_re_as/japan_losing_horse

投稿者 arikui : 2004年03月24日 00:09 | トラックバック

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