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2005年04月09日

はこにわ虫

はこにわ虫」 近藤聡乃

 一番先に思ったのは、絵が上手いってことか。ページ全体を見ても、なんかのポスターみたいな感じがする。文字も手書きみたいで、やっぱ統一された奇麗なデザインになってんだよな。
 そういった「芸術的」な内容で、一般的に言えば一部「意味不明」だろう。その不可解な感じは、「つめきり物語」の最初の言葉に、

何かの拍子に、何かがヒョイ、と浮かぶ。
こういうことはよくあることで
これも、そんなお話です。

とある。なんか全体的にそんな感じなんじゃねーの、と思った。こういった「雰囲気」の作家が増えたよね、みたいなことを巻末で林静一が、


それは、思想家吉本隆明氏が我が娘、よしもとばななの小説作品を指して、小説のマクドナルド化と評したのと同じ現象なのだ。

といい、そして、

近藤の作品も、関係性の他者として友人や目障りな隣人が登場する。が、山田花子の作品のように、それ以上関係へとは進まない。
いや寧ろ、関係を自ら拒否しているかのようで、そこが近藤の作品への初々しさを与えているのだ。まるで、大きくなることを拒否した少女のようにだ。

と論じている。なんというか、林静一だから、その分重く感じる。
それと、近藤聡乃の漫画は女性ならではの魅力があるだろう。恐らく、男性が同じようなキャラクターで漫画を書いたとき、それはどこかロリコン的な要素が含まれていたりするのではないか。そして、それは恐らくすでに消費されていて、新鮮さはあまり感じられないだろう。男性から見る少女への憧れではなく、女性から見る少女への憧れだろうか。そういったものを感じる。

投稿者 arikui : 2005年04月09日 15:45

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